振り返ってみれば2年間かかった新病棟建設が、ようやく4月26日の竣工完成式典で一区切りを迎えました。その間、職員の異動もありました。箱根病院に後ろ髪を引かれながら去った人もいます。多くの人たちが想いを紡いで、この日を迎えられた事に心から感謝をしています。式典は、私の挨拶の後、国立病院機構理事長よりの祝辞が財務部長により代読され、続いて加藤憲一小田原市長と長谷川嘉春神奈川県保健医療部長から祝辞を頂戴しました。当院が掲げる神経筋・難病医療は政策医療として行政との関わりが深い分野です。お二人から、我々の事業に対するご理解とともに大変ありがたい期待の言葉もいただきました。
以下に、私の挨拶を載せます。当日は、私の素の気持ちを伝えたいと思い、挨拶原稿をつくりませんでした。これは後から内容をなぞった文章です。でも、ほぼ一言一句同じです。会場にご臨席いただき、お聞きいただいたつもりでお読みいただければと思います。
新病棟開棟式典挨拶全文
皆様、本日はご多忙のところ、またゴールデンウィークが始まる土曜日にも関わらず、箱根病院新病棟開棟式典にご臨席いただき大変ありがとうございます。
箱根病院は、明治40年渋谷に開設された廃兵院から108年、昭和11年に当時の足柄下郡大窪村大字風祭、この地に移転してから79年を数えます。その間、診療の対象や診療科の変化、附属学校の開校と閉校、病棟の建替えや集約など、いくつかの歴史の節目を経てきました。本日の新病棟開棟も、大きな1つの節目であると感じております。現在、箱根病院は神経筋・難病医療センターとなり、神経系の専門病院として運営されております。とはいえ、入院患者の54%は、地元である小田原市や箱根町など県西地域の方々であり、これに県央、県東部を加えた神奈川県全域で80%を占めます。やや範囲は広いものの、地域の神経疾患患者を支える病院でもあります。
当院は、3年前から「命輝く、癒しの病院」をコンセプトとしております。これには、「サービス」、「職員」、「施設」という3つの軸がございます。「サービス」は患者さんへのサービスという意味ですが、これには発症早期の診断から、治療、そして療養にいたるまで包括的に高度で良質の医療・看護・介護を提供するという意味が含まれています。「職員」は、良質のサービスを患者さんへ提供するために、まず職員の命が輝くような職場環境をソフト面で作り出そうという意味があります。「施設」は、建物のみならずキャンパス全体を清潔で心地よく癒されるものにするという事です。本日開棟します新病棟は施設そのものでありますが、「サービス」や「職員」を支え、理想の病院づくりの礎となってくれると信じております。
私たち職員一同は、力を合わせてコンセプトを実現し、理想の病院を目指して活動して参ります。どうか皆様の一層のご支援と、願わくば箱根病院への幾ばくかの期待も頂戴出来れば幸いと存じます。
改めまして、本日はご臨席いただき大変ありがとうございました。
式典を終えて
私たちはこれから本当の力を試されます。出来上がった建物に、熱い魂を入れる作業が始まります。まず、5月14日に患者さんの引越を安全に終える事からです。いつもより少ない患者数でも約140人の引越です。人工呼吸器装着患者さんは約80人います。職員全員総掛かりでチームを組みます。気の抜けない1日、Big Dayが待っています。