こんにちは。
日に日に寒くなり、箱根の紅葉も見ごろの時期がやってきました。
私はというと、インフルエンザの予防接種の始まりに冬の訪れを感じています。箱根病院の患者さん、スタッフは今が接種のピークを迎えています。
今年はテレビCMの影響もあり、肺炎球菌ワクチンの接種の件数も増えています。
今回は、インフルエンザの予防接種でよく聞かれることについてまとめてみました。
Q1 なんで毎年予防接種をうけないといけないの?
日本で使用されているインフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」というもので、効果が長く持続しないためです。個人差がありますが、およそ6か月で効果がなくなります。また、流行するインフルエンザウイルスのタイプが毎年少しずつ変化するため、ワクチンの内容も毎年のように変わっています。毎年接種を受けることでより免疫を得やすくなります。
Q2 いつごろ接種すればいいの?
季節性のインフルエンザの流行時期は例年12月~翌年3月頃までです。これに備えて、すくなくとも11月末には接種する必要があります。
ワクチンを接種してから1~2週間で抗体(免疫)ができはじめ、1か月後にピークを迎え、6か月程度で効果がなくなります。
Q3 インフルエンザの予防接種が1回の人と、2回の人がいるのはなぜ?
◆65歳以上
1回接種で十分に免疫が得られるということがわかっています。
◆13~64歳
近年インフルエンザになったことがある人や、毎年インフルエンザの予防接種を受けている人は1回接種でも十分に効果があります。医師が判断した場合や、本人の希望により2回接種となることがあります。
◆生後6か月~13歳
2回接種します。年少児では大人に比べて、1回の接種では十分に免疫が得られないことがわかっているためです。1回目の接種から3~4週間あけて接種することが奨められています。
◆6か月未満
接種できません。
インフルエンザワクチンのタイプは厚生労働省により決められています。病院や、製品による違いはありません。○○病院のワクチンはよく効く、ということはありません。
Q4 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)と同時にできますか?
1週間(中6日)あけることで、ワクチンどうしの干渉を防いだり、接種した部位の腫れ、熱感などの局所反応を少なくすることができます。医師が認めた場合には同時に接種することができます。
Q5 妊娠中、授乳中の接種について
かかりつけの産婦人科の医師の判断のもと接種を受けてください。ほかの医療機関で接種を受けるときは妊娠していること、妊娠している可能性があることを必ず申告してください。
基本的には、妊婦のワクチン接種は推奨されています。完全に感染を防ぐことはできなくても重症化を防ぐことができます。また、母親の獲得した免疫が、胎児にも移行することがわかっており、インフルエンザの予防接種をうけられない生後6か月までの間のインフルエンザの感染防御、重症化の防止ができます。
妊婦のワクチン接種のデメリットは妊婦のアレルギー反応ですが、その発生頻度に妊娠の有無は関係ありません。
接種による自然流産、早産、胎児発育異常、奇形などのリスクについても増加するという報告はありません。
母乳から乳児にワクチンや母体が獲得した免疫(抗体)が移行することはありません。
最後に・・・
私はこの10年間は毎年予防接種を受けています。年々痛くなるような気がしています笑。が、一度もインフルエンザにかかることなく過ごしています。
予防接種をしただけでは100%感染を防ぐことはできません。
しかし、重症化を防ぐことや、年齢、病気、体調などにより接種を受けることができない人たちに移さないためにも多くの人が予防接種をうけること(集団免疫効果)がすすめられています。
「今はいい薬があるから」と接種を受けない人もいますが、インフルエンザの治療薬を使っても、周囲に対して感染力があることがわかっています。また、発症後48時間以内に薬を服用できない可能性や、肺炎や脳症などの重篤な合併症のおそれもあるので、まずは予防接種を受けることお勧めします。
早くノロウイルスや、今話題のエボラウイルスに対するワクチンが開発されるといいなぁと思います。
箱根病院ではインフルエンザ、肺炎球菌などの予防接種は予約制にて承っております。
文献:一般社団法人 日本ワクチン産業協会 予防接種に関するQ&A集
アステラス製薬 インフルエンザQ&A 2013