入院最後の日は誕生日
短期入院中だった山田さん(仮)は、今日が退院日。
スタッフステーションで「今日は山田さん、退院だけど、誕生日らしいよ。」
と看護師たちが話しているのが聞こえてきました。
「それでは一緒にお祝いをしましょうよ!」という話になり、
山田さんの体を拭いた(清拭)後、サプライズで看護師数人がベッドサイドに集まり、
「Happy birthday to you(ハッピーバースデートゥーユー)♪ Happy birthday to you♪(ハッピーバースデートゥーユー)」とお誕生日の歌を歌い、お祝いをしました。
お迎えにきた奥さまと、山田さんはビックリ!
その後、涙を流しながら喜んでもらい、ニコニコとうれしい表情をされました。
サプライズバースデーのはずが・・・・
その後、退院の手続きも済み、病棟を離れるとき、
奥さまが「実は・・・」と話しかけてくれました。
「今日は、主人の誕生日ではありません。」と・・・・。
「え・・・・」
「でも主人は、本当にうれしかったようです。
あんなにうれしそうな顔を、久しぶりに見ました。ありがとうございます!」
とおっしゃってくださいました。
とはいうものの、スタッフは申し訳ない気持ちでいっぱいです。
すぐに皆で山田さんの所へ、謝りに行きました。
「山田さん! はやく年をとらせてしまって、申し訳ありませんでした。
きちんと調べれば良かったのですが、今日が退院なので私たちも焦ってしまって・・・
でも今度レスパイトで入院(短期入院)し、
その時に本当の誕生日だったら、今日よりももっと大きなキレイな声で歌います!」
勘違いも、みんなの楽しい想い出に
・・・・考えて見れば、変なおわびの仕方です。
山田さんは、気管を切開しているので話すことはできません。
しかしうれしそうな表情を浮かべ、きっとおわびを受けいれてくださったと思います。
スタッフが少しでも山田さんに楽しい気持ちになってほしいと願い、
そして、その気持ちを山田さんが理解してくれたからこそ、
スタッフと、山田さんご夫婦との楽しい想い出となったひとときになりました。
いのち輝く癒しの病院に
先ほど申し上げた、レスパイト(respite)とは、
在宅看護などで介護する人が、
疲れきってしまうことを防ぐために、1~2週間の短期入院することを言います。
当院にも、定期的にレスパイトで入院される患者さんは多くいます。
当院のモットーは、「いのち輝く、癒しの病院」です。
「また利用したい!」、
「またあの病院のスタッフに会いたい!」と思って頂く。
限られた環境でしか生活できない患者さんにとって、少しでも楽しい想い出を作りたい!
そんな看護を、これからも実践していきます。
元々の意味は、(仕事・苦痛などの)一時的中断、息抜き、小休止、休息。
介護者の疲れることを防ぐ以外にも、
既に何らかの介護の限界を超えたり、介護ができなくなった状況
例えば、近親者の冠婚葬祭が起こってきた場合に、短期間入院(1〜2週間)してもらったりしています。